食と農、環境を作る人、すべてがつながっている「Peace & Nature」

2018年度のプロジェクトである、1WEEKトライアル、2ヵ月間のステップアップチャレンジに参加された、NPO法人Peace & Nature代表のバハラム・イナンルさん、忍・イナンルさん、プロボノとして参加したブリッジメンバーの方々にお話を伺いました。

※本レポートは、2019年2月9日開催、神戸ソーシャルブリッジフォーラムでの登壇内容をもとに作成しています。

Peace & Nature について

バハラムさん

 

(バハラムさん)イラン・イラク戦争を体験して、平和を求めて、ご縁があって、日本にきました。阪神・淡路大震災を経験し、その後、神戸で結婚しました。子どもがアトピーを患ったので、色々な病院いきましたがなかなか治らなくて、それについて勉強をしていたところ、神戸大学の保田茂先生に出会って、食の重要さと安全性を学びました。

今は、 (株)神戸クルーザー・コンチェルト南部真知子さんの紹介で、大沢の地域で無農薬野菜を作っています。38か国の国籍の方、国際学校、大学、企業は40社以上の方々が参加してくださっています。

(忍さん)活動には3本柱があります。1.安全安心な食と環境をつくる、2.未来のグリーンリーダーを育成する、3.日本人と外国人がともに活動をし、日本から世界に発信をする、になります。グリーンリーダーの定義は、地球環境の課題を理解し、解決に向けて行動する人としています。

Peace & Nature は2003年に活動を開始して16周年をむかえました。その中で気づいたのが、以下の3つの課題です。

①日本の自給率は先進国の中でも低い。(日本39%、オーストラリア173%、カナダ168%、アメリカ124%)

②高齢化と農業人口の低下により、休耕田や空き家が増加。

③現代人、特に若い世代と自然との繋がりが希薄

社会には地球温暖化や様々な課題があり、昨年の台風で自分たちの畑でも農作物がダメになってしまいましたし、まわりのオーガニックファーマー、地域の方々、本当に大変な年でした。

現在38か国のメンバーの方と一緒に活動をしています。参加方法は、インターナショナルスクールの生徒たちが遠足などで参加してくださり、それを通じて、ご家族の方も参加してくださいます。インドやカナダから海外の高校生をインターシップで受け入れています。

そのほかに、どういうわけか見つけてくださって海外からの観光客も、日本の地域の文化に興味のある方に参加をしていただいています。それぞれ参加される目的は違うと思いますが、英語でも活動を発信しているので、外国人の方も集まりやすい環境になっているのだと思います。

だいたい38社ぐらいあると思うのですけど、企業のみなさんと一緒に活動しようということで、活動をサポートしていただくために法人パートナーになっていただいています。

Peace & Nature のコンセプトは、「すべてつながっている」ということ。活動の主旨は、食と農、環境、人間力になりますが、食と農、環境作る人すべてがつながっているという考え方をしています。

 

プロジェクトの感想

(忍さん)1WEEKトライアルは、活動16年目ということもあり、とにかくいろんなことをやっている中で、ブリッジメンバーのみなさんに問題点を出していただいて、分析をして頂きました。私たちは企業、大学、個人みんなで一緒に活動しています。環境活動の一環としてやっており、みなさんと共に活動を継続していく際に、どうやってメッセージを伝えていべきかなのかについて考えようとしたとき、熱い想いで活動をし続けてきていることもあり、自分たちのことを客観的に見られなくなっていました。

そこでブリッジメンバーのみなさんの客観的な視点で、どういったメッセージを伝えるのが大事なのか、について考えていただき、資料にまとめていただくとういことを、2ヶ月間のステップアップチャレンジでは取り組みました。

(バハラムさん)うちの集落も10年たてば、後継者が1割残るか、残らないかというところ。他のところも似たようなことになるところも少なくないと思います。私たちはモデルケースを作って、様々な団体グループ、会社、組織、大学、特に教育機関と一緒になって一つのコミュニティを作っていくことがあるべきではないか思っています。

SDGs(*1)の中で、一番着目していきたいのは17番目のパートナーシップ。お互いの強みをより特化して、出していくということ、単独ではなく、組織としてチームで臨んでいくということをやっていきたいと考えています。

(*1 SGSs:持続可能な開発のための、17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)からなる、国連の開発目標のこと。)

 

ブリッジメンバー・インタビュー

登壇者

逸本 寛明さん
製薬メーカーの営業として戦略立案や人材・組織開発に取組む。初プロボノ。

松嶋 剛史さん
市役所にて総務、研修、海水浴場管理、福祉などの業務を経て、定年退職後は市の外郭団体など地域活動に取組む。

 

左:逸本さん, 右:松嶋さん

左:逸本さん, 右:松嶋さん

参加のきっかけ、プロジェクトの活動内容について教えてください

(松嶋さん)昨年3月までシルバーカレッジのしあわせの村のなかの事務局におりました。学生の方から、シルバーカレッジ事務局を辞めたら何もしないの?と聞かれ、いやいや社会参加しますよ!ということで参加したのがきっかけです。

1WEEKトライアルが始まる前にブリッジメンバーに送られてきたのが26ページに及ぶヒアリングログでした。それには実際の団体の問題がずらりと書かれていて、26ページに及ぶ内容を消化するのにどうしたらいいのか悩みました。メンバー内で分業しながらで団体の問題点、団体ができること、チームができること、個人ができることをそれぞれまとめて、成果物としてまとめていきました。1WEEKトライアルについては、特に、情報発信にフレームついてまとめたものになっています。

(逸本さん)単純にこのままでいいのかなということと、社会のために何かできるのかなというところが、参加きっかけです。ステップアップチャレンジの活動内容としては、団体がこれからどのように打ち上げてムーンショット (*2) に近づけていけるのか、についてお手伝いをしました。課題としては、団体が企業と協働してやっていきたいということであったので、SDGsをキーワードに、わかりやすく紹介できる資料を作りました。

(*2 ムーンショット:未来から逆算して立てられた大胆な計画、を意味する比喩)

難しかったところは、魅力的な社会課題の解決に取り組まれているのですが、ムーンショットがかなり大きいところにあるので、これを今の課題に落としこむところにとても苦労をしました。ただ世の中的にSDGsという風が吹いているので、そことしっかり繋げることができて良かったと思っています。

面白かったところは、いろんなメンバーと一つの課題に対して同じ方向に向かっていき、神戸で課題解決に臨んでいるPeace & Natureさんのお役に立てたところが面白かったなと思っています。米子から単身赴任で毎週出てきていたのですが、それでもできるとういことが実証できました(笑)

 

Peace & Natureの活動でいいなと思ったところはありますか?

(松嶋さん)先ほど別のところで、居場所というキーワードが出ました。Peace & Natureの学生ボランティアとして活動されていた方が、アイクラフトさんというIT企業に就職をされ、その後も、Peace & Natureの山の活動(六甲山での森づくり)に参加されていたり、外国人の方が日本に来られて、日本の文化になじむための活動に参加されていたり、いずれも一つの居場所のようになっていていいなと感じました。

 

神戸ソーシャルブリッジに参加して、何か変化があったことはなどがあればお願いします。

(逸本さん)何が変わったかっていうと、これから変わりたいと思っているところですが、一つはできれば英語を学びたいと思っています。

これから一歩踏み出そうとされる方に、メッセージがあればお願いします。

(松嶋さん)私は何の能力もない。定年退職をして、何もないと思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、うまく輪をもってやれる活動だと思いますので、年齢に関係なくソーシャルブリッジに参加していただけたらと思いました。

 

一般参加者からの質問

(一般Aさん)大学生の息子がいまして、大学生や若い人がどの程度参加しているのか興味があるので教えてください。

(忍さん)学生チームがあり、いろんな大学から参加されています。関西学院大学や神戸大学からのインターンシップで参加される学生さんもいます。色々な形で試行錯誤の上でやっているところですが、若い方がとても沢山参加してくれています。

その他に学生向けのサマースクールを毎年やってきています。去年はDIYで家の再生を行いました。自分たちで自然の中でDIYすることなど、自分たちが学べるというプログラムの企画を、学生さんたちに全部やってもらう、ということを今年から始めてみたいと思っています。

(バハラムさん)教育の場所として最高だと思っています。自然の中では自分の思うようにいかないときもあります。都会にいたら99%以上思うようにいくのですけど、自然の中ではそうではありません。苦労は勝手でもしろと昔から言われていますが、今都会の中には自販機やコンビニもいたるところにありますし、買い物はアマゾンでオーダーしたらすぐに届きます。そうではない自然の中で教育の場所を作って、調和の心を身につけてほしいと思っています。

 

(一般Bさん)若い人たちが、大沢に移住したいとなると難しいことはありますか

(忍さん)若い人たちに移住してきたいという思いはあるのですけど、家に空きがなかなか出ないのです。私たちの場合も何年も待って、やっと紹介して頂ける感じでした。しかし、農家のライセンスがないと活動はできないって言われて、今度はそれを取得することになって……と、なんだかバリアみたいなものがいくつかあるのです。

(バハラムさん)夜の8時に地元の人たち、地域の人たちが20人ぐらい集まって、そこに私たちも参加して、いくつか難しい質問が出て、答えて……、その次に農業委員会の方へ上がってまた40人ぐらいの大先輩や農家の人たちがいて、みなさん厳しい顔で……。

そこで私は、たくさんのものを作る自信はないけど農業を通して日本の伝統文化、働き方、生き様を世界に発信することには自信をもっています、という話をしたら、みなさんの顔色が変わって、ライセンスの取得をすすめられることになりました。しかしそれでもやはり1年間は初心者、そして1年後に正式なライセンスをいただいて、土地と建物を買うことができました。

(忍さん)働き方が変わってきているので、若い人たちが地域に帰ってきたときに、自分で自分の仕事を作りながら、いろんな工夫ができると思います。

 

(一般Cさん)一番大変だったことはなんですか?

(忍さん)家を探すのにとても苦労しました。最初は公民館をお借りしていましたが、地域の行事が優先になるのでお葬式とか何かあると使えなくなってしまうのです。子どもたちのサマースクールを予定していたのに、お葬式があって食事をとる場所がなくなってしまうようなことがあって、家を探し始めました。そして3件目でこれだったらというのが出て来たのですが、ずっと使っていない空き家だったので、掃除に1年かかり、3〜4メートルあるような木もカットして、すごく時間かけながらやってきています。

 

(一般Dさん)慣行農業の中で、オーガニックに対する抵抗はなかったのでしょうか?

(忍さん)抵抗はあると思いますが、私たちは農業というよりも、環境活動、食作りの活動の一環として活動しています。農業について学びましたけど、実際は地域の人たちに助けていただきながらやっています。ヨガのプログラムは人間力の観点ですすめていますが、人間力が上がらないと環境活動も地域の人との関わり方も、バランスがうまくいかないのじゃないかということでやっていますので、オーガニックというだけの観点というよりは、教育の場を作っているとみなさんにお伝えしています。