子育て中がメリットになる働き方を作る 「ママの働き方応援隊」

2018年度のプロジェクトである、1WEEKトライアル、ステップアップチャレンジに参加された、ママの働き方応援隊の代表合田さん、小賀さん、プロボノとして参加したブリッジメンバーの方々にお話を伺いました。

※本レポートは、2019年2月9日開催、神戸ソーシャルブリッジフォーラムでの登壇内容をもとに作成しています。

代表の合田さん

ママの働き方応援隊について

女性の6割が出産を機に仕事をやめているというのが現状です。そんな中で、私たち「ママ働(はた)」は「女性が出産後も働ける場所を作る」「仕事を通して社会と繋がれる場所を作る」という活動を2012年からスタートした団体です。

1つ目の事業が「赤ちゃん先生プロジェクト」です。赤ちゃんとママがいろんな場所に行って、ふれあいを通じていろんなものを感じ取ってもらうというもので、小学校や中学校など、教育機関に行かせてもらうことが多いのです。小学校中学校に行くと、児童や生徒が赤ちゃんの方に集まってきまて、「かわいい」、「手が小さい」などいろんな感想が出てきます。そんな中で自分にもこんな時期があった、こんなに小さい時期があったということを感じてもらって、命は成長しているということを感じてもらうこと、そして「僕なんて…」「私なんて…」と思っている小中学生が多いと言われている中、赤ちゃんを連れていき赤ちゃんは1人では生きていけないということをママが生徒さんに伝えることによって、自分たちも赤ちゃんのときにはいろんな人に愛情をもらっていろんな人に見守ってもらって大きくなっているのだ、今の自分はいろんな人に支えられて生きてきているのだ、ということを伝える授業をしています。

高齢者施設などに行くと、おじいちゃんおばあちゃんはすごくいい表情をされます。背もたれにずっともたれていた方も前のめりになって、「こっち来いこっち来い」と言ってくれます。ずっと前だけを向いていた方も横を向いて赤ちゃんを追いかけてくれる、それだけでリハビリ効果になるという声も施設の方からいただいています。

高校・大学向けプログラムというものもあり、高校生、大学生は親になることも可能な年代なので、育児体験をすることによって24時間ニコニコしているわけではない赤ちゃんをリアルに届ける、そんな授業をさせてもらっています。親になってみて、新生児を抱っこするのは自分の子どもが初めてだったということは実際に多いので、赤ちゃん先生を通じて、自分が出産をして子どもを育てることを視野にいれたキャリアデザインを考えるきっかけになっているかなと感じています。

赤ちゃん先生を継続的に実施していると、地域でお母さんがベビーカーを押していると「赤ちゃん先生の子やん。ちょっと見といたるわ。」みたいに、本当に地域とのつながりができてきたというのが、この7年間やってきた結果かなと思います。赤ちゃん先生が2012年から広がってきて、10年越しの2021年には赤ちゃん先生プロジェクトが国の必須事業となる取り組みにできるように今動こうとしています。

私たちの活動を支えているママたちは元気な人が多いということもあって、企業などから「ぜひうちに週3、3時間でもいいから働きに来てくれへんか」という声をよく頂戴しますが、子育て中のママにあった週3、3時間程度で働ける仕事は非常に少ないです。であれば、「私たちで週3、3時間で働けるロールモデルを作ろう」と、去年10月から「マゴワヤサシイキッチンここから」という、日本古来からある伝統食をお弁当として作って地域に届ける取り組みを始めました。

今「食」というものが本当に乱れていて、子どもたちのアレルギーや発達障害、多動症などが非常に増えていますが、「食」を見直すだけで、1週間で症状が落ち着いたなどの事例が出てきています。キッチンここからでは、10:00〜14:30まで3人1組で仕事を分担する働き方をしています。

今5人雇用していて、5人が1日3人ずつシフトを組んでローテーションして週4日を回しています。3人のうち2人がキッチンに、もう1人は託児に入ります。これもローテーションを組んで、1日30食「マゴワヤサシイ弁当」を作ります。その後販売で30食売り切る前から明日の30食の仕込をする、それを10:00〜14:30の間で、時給で働くということを今実験的にやっています。

14:30にあがったら幼稚園のお迎えに行き、もし仕込みが足りないなと思ったら、お迎えの帰りにスーパーによって冷蔵庫に入れてメモを書いてまた帰るというように臨機応変に働いています。お弁当を売りたいわけではなく、お弁当の事業をもとに食べる「食」と私たちの働く「職」をテーマに地域に健康を届け、こどもの未来に繋がる食を正していこうという取り組みです。

赤ちゃん先生、キッチンここから、どちらも孤独死、引きこもり、自殺、産後鬱など人と人とが繋がれていないことによる問題へのアプローチとして、日本の無縁社会を解消するというビジョンの元、全国にフランチャイズ展開しています。

ビジネスシーンでは赤ちゃんがいることはデメリットになることが多いです。それであれば赤ちゃんがいないとできない仕事をつくろうと。赤ちゃんを連れていると知らない人から「何歳?」と聞かれて人と人とが自然につながります。赤ちゃんの持っている強みであるエンパシーの力を使って、日本の無縁社会を解消しようということをビジョンに、「子育て中がメリットになる働き方を作る」をミッションに常に念頭に置きながら「子どもを生むことがデメリットではない」という価値観を私たちの団体が世の中に伝えていけたらいいなと思っています。

 

プロジェクトの取り組み

赤ちゃん先生の効果効能を1枚に表現した資料作成とマニュアル作成

ずっと赤ちゃん先生という事業をしてきて開催実績が全国で5,000回、そして総受講生が25万人くらいになり、いろんな感想やデータが出てきています。行政などへこれを説明をする際、効果効能が一枚でぱっと伝えられる資料が作りたいと思っていたときに神戸ソーシャルブリッジについて知り、1WEEKトライアルでは資料作成についてサポートをお願いしました。

1週間でできるのかなとちょっと億劫になっていましたが、集まったメンバーがバリバリ仕事をされている経験豊富な方々で、一言伝えたら「これはああしましょう」「こうしましょう」という感じで、その後、私たちの方に来る連絡は「こんな感じで行こうと思うんですけどどうですか」という感じだったので時間を取られることはなかったです。

お渡しできる資料は全部渡しましたが、1週間の中で汲み取って表現して下さいました。資料は表裏の両面あるのですが、表は赤ちゃん先生を受講したこどもがどうなるかというデータ、裏はママがこの授業に参加することでどういった効果効能があるかを伝える内容で作りこんでくれました。

1WEEKトライアルの成果物

去年の4月からママたちが子連れでも働ける食の事業として「マゴワヤサシイキッチンここから」の事業がスタートし、これから全国展開をしていく上で、いろんな質問が来ることが想像されました。

それに対応できるマニュアルみたいなデータが整備されていれば、スムーズにフランチャイズ展開できるようになるだろうということで、「マゴワヤサシイキッチンここから」をフランチャイズ化するためのマニュアル作成をプロジェクトとして取り組みました。

フランチャイズ化のマニュアル

 

プロジェクトを終えて

ソーシャルブリッジは色々なその後の繋がりの可能性に満ちている

私たちの団体ではチームを作っていろんなプロジェクトが動いています。ほとんど内部のメンバーだけでやってきていて、外部に何かを依頼したことは今まで1~2回くらいしかありません。今回、ソーシャルブリッジの話を聞いて、全くこれまでに接点のなかった人たちとつながることがどんなものか試してみたかったということが参加した大きな理由です。

結果的に、チームメンバーの中で子どもが生まれた人がいて、地元のイベントに行ったらママ働の活動紹介があって奥さんにも勧めてみたとか、まずは、事業をよく知ってもらう機会にもなり、つながりの可能性に価値があると思いました。

自分たちにとっての当たり前を、ブリッジメンバーからすごいとほめてもらえたり、活動を認めてもらえたりするとそれは自信につながるし、そうした自信は仕事にも反映されます。外部の声をもらうのは大事だしいい機会になるということを実感しました。

最初は何も知らない方たちに活動のことをわかってもらえるかなどと悩んだところもありましたが、ずっと継続的にいろいろとお願いしたいし、他団体とのマッチングの取り組みにつながればと思います。メンバーのみなさんともSNSでも繋がっているので、今後もなにか教えてほしいときにつながれる関係性ができているということも参加して良かったと思います。

プリッジメンバー・インタビュー

登壇者

東原翔平さん
電機メーカーにエンジニアとして従事。以前に会社の社会貢献の取り組みとしてプロボノに参加したことがあり、車椅子バスケの大会マニュアルを作成経験がある。

市橋英紀さん
印刷会社の営業、企画などの仕事に従事。初めてのプロボノ活動。

 

自分の知らない世界を見せてもらうことができたのが一番面白かった

東原さん

(東原さん)私たちのミッションはマニュアルを作っていくことでした。初めて飲食の現場で働き始めた方でもすぐ使えるようなマニュアルで、3人1組でシフトを組まれるということで、どんな3人になっても仕事を回せるようなマニュアルを作ることをテーマに掲げました。チームは本当に見ず知らずのメンバーが集まっていたので、最初の顔合わせの後に飲みに行き、なぜ参加したのか、普段はどんなことをしているのかなど、早い段階でメンバーの人となりを知ることができたのは、プロジェクトを進めていく上で良かったと思います。

前半10〜11月は何度かのキッチンへ実際に訪問して情報収集をしました。ミーティングの頻度は、中間報告があるまでは2週に1回くらいネットでミーティングをしました。最初はカフェや飲食店のマニュアルにどういったものがあるのだろうとリサーチをし、その後、実際にお店に伺ってこういったものが求められているのだという現状を認識した上で進めていきました。

形になったものを合田さんに見ていただくことを2週間に1回くらい挟んで、折り返しの中間提案までにだいたいの整理が終わりました。中間提案後は、まとめたマニュアルを片手に初めて働く側に立って、こういうことが載ってないと分らないよねと、追記のポイントを抽出していきました。プロジェクトを進める上で難しかったところは、みなさん仕事をしているので、直接会うことが難しくメールでのやり取りが多かった点です。

ただ、メールだけだと意思疎通が図りにくいので、後半はビデオミーティングを使うようにしました。今まで全く関わりのなかった人と一緒に物事を進めていくことや、会社の外に出て色々話ができたというのは良かったと思います。

 

市橋さん

(市橋さん)最初の方向性がなかなか決まらなかったので、難しかったのは最初の部分かなと思います。全然知らないメンバーと知り合えて、ママ働さんのような活動をしている団体のことも知らなかったし、いろんな活動を知れたところ、自分の知らない世界を見せてもらうことができたのが一番面白かったと思います。

こういう活動に参加したのは初めてで、自分が役に立てるのか力になれるのか半信半疑でいました。仕事もしていますが刺激が足りないというか、何かやりたいと思っていて、「とりあえず参加してみよう」と思い参加してました。すると、こんなにすばらしい活動を知れて、メンバーも素晴らしい人ばかりで、みんなでワイワイできたこともあり、これをきっかけに他の活動にも参加するようにもなりました。

本当にいろんなこと、世界を見ることで、自分の知識も広がっていくし、積極的になれたところもあります。本当は人前で話すのもそんなに得意じゃなかったけれど、みんなに伝えたいなと思ったので今回登壇させてもらいました。

(東原さん)この活動に参加する前にも出産を機に仕事を辞める人がいることは知ってはいました。今回のプロジェクトで実際にママさんたちと接する中で、こんなに元気で力のある方たちが働けなくなる世の中なのだな……とひしひしと感じました。活動の中でもどんどん改善を提案されていたし、すごい力だと思いました。今後何ができるかは分からないのですが、今回活動に参加できたのはひとついい経験だったと思います。あと「マゴワヤサシイ」から学んで、家でひじきを炊くようになりました(笑)

企業で働いている方はソーシャルブリッジで何かしら活かせる部分があると思います。私自身プロボノを始めたのが社会人2年目になってからなのですが、まだ1人前として働いていない状況でも学びがありました。自分に何ができるかの不安もあると思いますが、どんどんチャレンジしたらいいと思います。

プロジェクト紹介など

1WEEKトライアル:
ママと子どもによる命の授業・赤ちゃん先生。受講者に起こる変化や効果の可視化にトライ!

ステップアップチャレンジ:
ママの働く場所をさらに広げる新しい挑戦ー子連れで働ける健康カフェのマニュアル作成

プロジェクト参加者インタビュー:
基本的なことからはっとさせられる、とても勉強になる1週間