身近にある社会課題

神戸の地域、社会課題クローズアップ

阪神淡路大震災後、復興の過程で直面する様々な課題やニーズに対応する形で、市民自らが知恵を出しあい、住む街によりよく関わろうと多くの市民活動が立ち上がりました。

その市民活動の持続、発展のための法人格を認めるNPO法が議員立法で成立し、今現在、神戸市内にも780(2018年4月末現在)のNPO団体が、子ども、環境、女性支援、まちづくり、在住外国人支援など多様な分野で活躍しています。

「社会課題の代弁者」とも表現されるNPOが、どんな地域・社会課題に向き合い、どのように課題解決に向けて取り組んでいるのか。活動を表す「数字」を切り口に、神戸市内の地域、社会課題についてご紹介します。

写真の数字がどんな活動をあらわす数字なのか…? 皆さんも想像しながら、各NPOが関わる課題や活動について読み進めていただけたらと思います。

(現時点の掲載情報は、2018年3月25日に開催された「神戸ソーシャルブリッジセミナー」の登壇団体のプレゼンテーションの内容をもとに事務局が編集しています。)

 


 

認定NPO法人 しみん基金・こうべ
184団体、総計 64,571,800円

しみん基金・こうべは、阪神淡路大震災をきっかけに設立されたNPOを応援するためのNPO法人です。神戸市内におよそ800存在するNPO法人に資金的な支援をするために、①寄付金を集める、②助成金を出すという2本柱で活動をしており、1998年設立以降、184団体に対して総計64,571,800円を交付しています。

1998年といえばNPO法が成立した年にあたり、今年は20周年、NPOの成人式の年ともいわれます。特定のテーマで活動するNPOの運営には、やはり運営費用となるお金が必要です。

NPOの成長とともに、市民から寄付を集めてNPO団体に助成金を出すNPOを支援するためのインフラや、市民が寄付を通じてNPO活動に参加できる仕組みも整えてきました。市民のお金が原資なので、どこに助成金を出すのか、何に使われるのかについて公開審査会を開き、公開投票しています。

寄付を集めるためのイベント企画や、事業者さんと寄付付き商品の開発などにも取り組む、NPOを支えるNPOである中間支援型組織が多いのも神戸の1つの特徴といえます。

<キーワード:#寄付のインフラ #助成金 #中間支援組織>

 


 

認定NPO法人フードバンク関西
180〜200トン 62社

フードバンク関西は、企業や個人からの、賞味期限以内で安全性に全く問題のない食品の寄贈により運営しています。過去5年間の食品の取扱量が180〜200トン、定期、不定期でも寄付をくださる法人数が62社です。

フードバンク活動は全国で、ボランティア主体で運営されていて、フードバンク関西では2003年の活動スタート以降、食の支援を必要としている個人やNPOなどの団体へ、皆さまからいただいた食品を配布しています。

拠点一箇所に月3回程度、ボランティアがマイカーで届けます。具体的な参加人数がわかりにくい自治体の炊き出しなどにも食品を届けているので、受益者の正確な人数はわかりませんが、月間7〜8,000人の方に届けられているとみています。

現在の課題は食品の偏りが大きいことです。お米、レトルト食品、缶詰などが期待されている食品ですが、神戸市内にも食品企業はたくさんあるものの、いざフードバンクへの食品提供となると門戸が狭まってしまうというのが現状です。食品確保の点で、中身の充実が求められています。

<キーワード:#フードバンク #経済的貧困 #食>

 


 

NPO法人FACIL
1242名、57言語

阪神・淡路大震災後から、事務所のある長田区に住む外国人の支援に取り組んでいます。外国人が日本に住む上で3つの壁(「心の壁」「制度の壁」「言葉の壁」)があると言われています。この中の「言葉の壁」を乗り越えて行こうという理念をもって活動をしていますが、それを実現するために協力してくださっている翻訳、通訳の登録者数が1242名、言葉の壁を乗り越えるためにこれまでに依頼があって翻訳・通訳をお受けしてきた言語数が57言語となります。

日本に住む外国人と一言でいっても色々なバックグランドを持っており、配偶者として来日した方、難民として来た方、働きに来た方、勉強にきた方など様々です。外国語を学んでいる方はわかると思いますが、外国語は習得までに時間がかかります。個々人によっても習熟度は異なりますが、語学センスがあって通訳・翻訳のレベルになったとしても、国内で正規に通訳・翻訳として雇ってもらうには難しい状況があります。

FACILのビジネスモデルは、言葉の壁で困っている人をFACILが提供できる翻訳、通訳で助けていくことです。その際に、言葉の壁で困っている人にお金を払って頂くわけですが、住んでいる人が払える適正価格をつけていくことを大事に考えています。

これは翻訳ができるレベルになった在住外国人の方へのオルタナティブな仕事づくりでもあり、また、日本人の方でも外国語を習得していても、それを日本社会で活かしきることができないという方達へも仕事として提供していけます。

このような、”循環するコミュニティビジネス”として翻訳・通訳事業を運営する団体として約20年やってきています。

<キーワード:#在住外国人 #コミュニティビジネス>

 


 

NPO法人ママの働き方応援隊

女性が結婚、出産を機に仕事を辞めてしまう割合が6割と言われています。
なぜ、結婚出産を機に仕事を辞めてしまうのか。その理由として上位にあがってくるのは、仕事と子育ての両立です。熱が出て保育園や幼稚園から呼び出しがある、独身の方と比べると時短で働かなくてはいけないといった問題で、仕事と子育ての両立が難しいということがあります。

もう1つは、0歳から3歳の一番手がかかるけど、かわいい盛りに子どもと一緒にいたい、とあえて仕事をストップして、子育てに専念する選択をする女性が多いということが背景にあるといわれています。

日本では結婚、出産前までに仕事のキャリアを積んで来て、正当に評価され、「ありがとう」と感謝の言葉をもらって、やり甲斐のある仕事を積み上げてきた、という方が多いです。でも、子育てをする中では、「ご飯を作ってくれてありがとう」「おしめを替えてくれてありがとう」といわれる機会は少なく、24時間、365日ずっと寝る間を惜しんで子育てをする。それは、イコール当たり前ということで、お母さんの自己肯定感、セルフイメージが下がってしまっている現状もあります。

そこで、子育てをしながら働くことを選択肢として諦めない様にしたい、そして、子どもと一緒にいなければいけない仕事をあえて作ろうじゃないかということで「赤ちゃん先生プロジェクト」という、我が子と一緒に小中学校に訪問をして命の偉大さを伝えにいったり、高校、大学で結婚・出産を含めたキャリアデザインを考えたり、育児体験をしてもらう授業に、お母さんが子どもと一緒に仕事として行ってもらう仕事を作ることに取り組んでいます。

<キーワード: #女性支援 #コミュニティビジネス #子育て >

 


 

NPO法人インターナショクナル
456万人 総人口の3.5%

食物アレルギーがある方達や、また最近海外からの観光客が多いのですが、ベジタリアンなど宗教上食べてはいけないものがある方達への食の安心提供に、インターナショクナルは取り組んでいます。日本で食べてはいけないものがある方は456万人(総人口の3.5%)と言われており、インバウンドの訪日外国人が今すごく伸びていて、2年後にはこの数が9.5%と、現在のおよそ2倍、約1割の人が何か食べてはいけないものがある中で、日本の食事を楽しもうとする環境になっていきます。

そこで、言葉に頼らないコミュニケーションツールの開発提供に取り組み、食については「フードピクト」という食材表示の絵文字を国際規格として開発し、国内1,400店舗の空港、ホテル、飲食店に提供をしています。また、具体的にアレルギーや宗教上食べてはいけないものがある方々をどう受入れて安心に繫げるのか、コンサルティングも行っています。

食以外には、昨年度、総務省と防災のピクトグラムを一緒につくり、去年の4月から全国の自治体の災害時避難所に防災のピクトグラムを用いたコミュニケーションシートが配布されています。食に限らず色々な分野で、言葉や文化的な違いを含めたコミュニケーションを円滑にする事業に取り組んでいます。

<キーワード: #在住外国人 #訪日外国人 #食 #コミュニケーション >

 


 

NPO法人J-heritage
無限

J-heritageは、産業遺産の保存、記録に取り組んでいます。軍艦島をご存知の方も多いと思いますが、軍艦島は、元々は炭坑の島で、炭坑の役目を終えた後はゴミの埋め立て地にする予定でした。ところが、そこに住まわれていた方が、思い出の場所であり、日本にとっても歴史を語る価値があるということで保存活動に取り組んだ結果、今現在は世界遺産にまでなっています。

産業遺産は地域の人や携わっている人が、これは地域にとって宝物だ!後世に残したい!と大事に思う気持ちから生まれるもので、まだ認定されていないものも含めて未知数です。また、産業遺産には色々な分野があって、軍艦島は「明治日本の産業革命」として認められている他、幕末から戦前までなど時間軸の区切りを含めると、とても複雑になり、産業遺産がいくつかあるのかは厳密にはわかっていません。そうなると、産業遺産は無限、数限りなくあるんだということが伝えたくてこの表現になりました。

J-heritageは、この無限にある産業遺産を先人からのバトンと思って、神戸に限らず全国規模で後世に伝えるために、産業遺産にお連れするツアーの企画、写真記録を残したりそれを情報発信したりすることで、産業遺産を知らない人が知る様になる取り組みをしています。

<キーワード: #産業遺産 #文化保存 #歴史 >

 


 

特例認定NPO法人まなびと
61.2 → 71.3
3つ → 4つ

まなびとは、人の学ぶ気持ちを支援する、それを地域で行っていく活動をしている団体です。学ぶ気持ちを育てるために、まず人に居場所を届けていこうというスタンスで活動を行っています。

内閣府が行った調査で、「自分の部屋、家庭、インターネット、地域、学校、職場の6つの中でどこを自分の居場所と感じますか?」という質問に対して、居場所が3つから4つに増えた時に、その生活を満足だ、幸せだと感じている割合が6割から7割に増えるという数字が出ています。

上位3つの自分の部屋、家庭、インターネットの次(の居場所)にくるのが地域で、地域との繫がりがないと学校や職場を居場所と感じる人が少ないのではないか、地域との繫がりがないことが地域課題なのではないかという視点を持っています。

この課題に対して、子ども達と外国人へのプロジェクトに主に取り組んでおり、放課後に地域の人たちと子ども、あるいは、子ども達同士で安心して過ごせる場所を届けること、また、外国人の方に対して日本語教室を通じて言葉の壁への支援をしつつ、そこに参加される方々がフラットに関われる場所を作ることで心の壁を乗り超えられるように支援を行っています。活動エリアは中央区、子どもの居場所については垂水区や王子公園の近くの灘区、西宮の甲子園でも活動しています。

<キーワード: #子ども #在住外国人 #居場所 >

 


 

須磨ユニバーサルビーチプロジェクト
可能性0

障がいを持っている人は諦めていることが結構あり、その内の1つ象徴的なことは、海、ビーチに行くことです。「そもそも海にいく選択肢がないよ、可能性ゼロだよ」という声が多かったので、そんなことはないよということを示して行きたいと思いながら活動しています。

活動する中の大前提として、「僕たち障がい者がここ不便やからもっと直してよ」と発信するための団体ではない、ということがあります。大事にしていることの1つは、「できないをできたに変える」ということ。自身が車いすになってから、海にいこうと思ったのにたどり着けず、自分でも厳しいなと思ってしまった経験がありました。でも、リハビリ留学をしたオーストラリアでビーチマットという青いマットに出会い、それがあれば海に行くことも諦めずにすんだ、そんな心に響いた感動経験があったのが今の活動のきっかけです。

「できないをできたに変える」と並んで、もう1つの活動の合い言葉は「みんなでつくる、ユニバーサルビーチ」。みんなとは誰を想像するかといえば、障がい者も健常者も行政マンも含めてあらゆる人です。

みんなでつくるを象徴するエピソードとしては、ビーチマットを使って海に入れるようになると、着替える場所があるといいな、という話になり、アウトドア用のテントができました。次に、着替える時にベッドが欲しいよとなったら、エステティシャンの人が持っているベッドが来て着替えがしやすくなりました。

さらに、今度は着替える時にシャワーも浴びたいなとなったら、須磨の漁師さんに手伝ってもらって200リットルのタンクを持ってきてもらって、日中外に出していたら温水シャワーになる手作りシャワーも用意できる環境になりました。こんな風に皆さんの力で、できることを須磨に置いていってもらったら、「できないができる、できた」に変わるユニバーサルビーチが実現していくと思っています。

他には、マッピングパーティーと呼ばれる、街を歩いてバリアの情報、段差やエレベーターの情報を集めるイベントを実施したり、ただバリアを見つけるだけではなく、すごい段差がある階段や地獄階段と言ってみたり、すごいスロープを心臓破りの坂と言ってみたり、バリアでさえも笑いに変えるマップを作る活動なども行っています。

<キーワード: #障がい者支援 #ビーチ >