プロジェクトを終えて – NPO法人ふぉーらいふ 

今回は、過去に参加した団体にプロジェクトを振り返っていただき、実際にどのような効果があったのか、なにが変わったのか、ざっくばらんにお話しいただきました!

お聞きした人
矢野 良晃さん(NPO法人ふぉーらいふ副理事長)

プロジェクト
2019年度春夏 情報発信トライアル NPO法人ふぉーらいふ

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――あらためて団体のことを教えてください。

学校に行かない子どもたちの学び支援の場を神戸市垂水区で運営しています。小学生から高校生まで約15名が通っていて、彼ら自身が中心となって、伸び伸びと自分のやりたいことができ、やりたくないことにはNOと言えるフリースクールを運営しています。

 

――プロジェクトはパンフレットの改善というテーマでした。どのような課題があったのでしょうか?

子どもたちは広く阪神間から通ってきていて、ご家族や本人の周囲の方々に私たちスクールのことはもちろん、取り組みを通じた思いなどを伝えることに難しさを感じていました。広報物はそれまでもありましたが、スタッフが4名のみで、制作に時間を割く余裕がなく、10年前から同じパンフレットをコピーして使っていました。古い情報をそのまま使いつづけることに限界を感じていたころ、神戸ソーシャルブリッジの存在を知り、第三者の視点を提供してもらえる点に魅力を感じて、広報物の改善をお願いすることになりました。

スムーズなプロジェクトの背景

――では、プロジェクトのお話を聞かせてください。ふぉーらいふのプロジェクトは、とてもスムーズに進んでいたように感じました。実際はどうでしたか?

そうですね、プロジェクト自体はとってもスムーズでした。でも、それまでに組織のなかがスムーズじゃなかったんです。(笑)

――どういうことですか?(笑)

4人のスタッフそれぞれに視点も違いますし、価値観もさまざまです。パンフレットにどういった内容を入れるべきか、実はこれまでも議論をしていたのですが、なかなか決まりませんでした。そういった経緯を背景に、ブリッジメンバーに入っていただいて、組織の外から見た意見をいただいたときに、4人全員が納得できたんですね。どうしても私たちは、各人の思いが先行したり、自分に引き寄せすぎたりして議論が白熱してしまうのですが、ブリッジメンバーの皆さんの冷静で客観的な意見にはっとさせられました。

自分たちの事業を分かりやすく伝えられるように

――ブリッジメンバーの皆さんは本業ではないにもかかわらず、団体の事業を短い期間で深く理解しようとしますよね。団体側としては、自分たちの事業を伝えるうえで苦労はありましたか?

やはり伝えるのが難しい側面はありますが、自分たちの事業を伝えることに関しては以前に転機がありました。2013年ごろに私たちは経営的に厳しい局面を迎えた時期があったのですが、その際に、「事業を他者に知ってもらうためには、業界用語、専門用語を使わずに、もっと分かりやすい言葉を使わないと伝わりませんよ」と助言をもらったことがありました。その助言がベースにあって、今回のプロジェクトでもできるかぎり分かりやすく伝わるように努めました。それがプロジェクトの進行で役に立ったかなと思っています。

――ブリッジメンバーのなかに、家族が不登校だったり不登校経験者だったり、不登校が「自分ごと」の方はいらっしゃいましたか?

一部の方は、フリースクールの名前を知っていました。一方、まったく知らない方もおられたので、そのバランスが良かったのかなと感じました。勝手な推測ですが、私たちの事業の翻訳者になってくれる方たちと、なにも知らない方たちの視点で議論されたことで、プロジェクトが充実したのかもしれません。

成果物の効果は内にも外にも

――プロジェクトはパンフレットの改善がゴールでした。成果物はどうでしたか?

まず、もともとのパンフレットは表現が全般的に抽象的だったんです。そこで、私たちが口頭で補足説明をしながら使っていましたが、相談に来た保護者さんやご本人が持ち帰って読み返しても、なんだっけ?と分かりづらいものになっていました。そこで、どの情報を載せるか載せないかを整理し、パンフレットだけで説明が完結するようにまとめていただきました。おかげで説明しやすくなりましたし、保護者さんやご本人もパンフレットを読み返せば説明や内容を思い出せるようになったと思います。また、内部的な効果もありました。パンフレットに沿って説明するようになったことで、説明の質や内容にむらがなくなりました。

――成果物から、その後に改良された部分はありましたか?

プロジェクトの成果物はパンフレットの「台割(構成案)」までだったんです。デザインは含んでいませんでした。最終的にデザインをしたのは私たちだったので、そこはスタッフ同士で議論しながら進めました。

――では、台割(構成)そのものの見直しはされなかったのですね。

はい。全体としてブリッジメンバーに書いていただいたものがベースになっています。スタッフの肩書きなどの本当に細かいところだけ検討しました。

――スタッフの皆さん、大納得だったんですね。デザイン作業などでは、大変な点はありませんでしたか?

構成にはほぼほぼ納得していましたが、卒業生や保護者の声などの原稿を揃えていくのは、自分たちでする必要があったので、そういった仕上げの作業はちょっと大変でした。

プロジェクトのゴールの設計

――プロジェクトによってゴールはさまざまですよね。チラシやパンフレットの完成をゴールにしているプロジェクトもあります。最後を自分たちで担当したほうが自分たちで仕上げた実感があるかもしれませんが、現場との両立は大変ですよね。振り返ってみて、成果物はどちらのほうがよかったですか?

仕上げは自分たちというのは大変でしたが、最後のひと手間を自分たちが担当することで、組織のなかの納得感は増しましたね。ブリッジメンバーからいただいた視点を受け取ったうえで、自分たちでこだわりたい部分を加えたり、微調整を最後にしたりできるという良さもあります。ただ、成果物の種類によりますよね。今回のように自分たちのミッションを伝える場合は、こだわりも強くでるので、私たちには今回の形が良かったです。しかし、そうではなくて、単純に「使うだけ」のツールであれば、完成された成果物のほうがありがたいかもしれません。

――成果物の設定はどんな風に決めたのですか?

事務局・ブリッジメンバーの皆さんと話し合い、「期間を考えると、現実的に台割を考えるところまでが限界だよね」と、あらかじめ検討して決めたうえでプロジェクトをスタートしました。

――ついつい手を広げたくなってしまうのに、期間を考慮して団体側も「台割まで」に納得されてスタートしたんですね。

そうですね。実は、当初は方向性を示すくらいのイメージの台割を想定していたのですが、最終的には細かく具体的な構成まで詰めていただきました。予定していたゴールよりも進めていただけたのは、最初にお話ししたように、ブリッジメンバーのなかに事業の理解者がいらっしゃったことが大きく影響しているように思います。

団体側として努力したこと

――今後神戸ソーシャルブリッジを検討されている団体さんたちへのアドバイスといいますか、ふぉーらいふがプロジェクトにおいて団体側として気をつけた点などがあれば教えてください。

ご連絡いただいたときに、できるかぎり早く返信を差し上げるようにしていました。というのも、連絡をいただくタイミングが「連絡できるタイミング」ではないかと思い、そのタイミングで早く返信を差し上げることで、チームのなかで話していただきやすかったりするのかな……と想像していました。例えば、こちらの返信が翌日になってしまうと、メンバーで検討されてから返信されるのがさらに翌日になってしまうかもしれませんよね。コミュニケーションが基本的にメールで進んだのも良かったです。実際にお会いできたのは2回ほどだったかと思います。ミーティングの日程調整にエネルギーをかけなくてよかったんです。

もう一つ大きかったのは、プロジェクトの初期に私たちの施設を見学いただいた際、その後に懇親会をしたことですね。メンバーの皆さんと気さくに雑談ができて、その後のコミュニケーションがスムーズになりました。今はコロナ禍で難しいですが……。

――メールのやり取りって、便利な反面、表現に気をつけないとコミュニケーションエラーが起きてしまうこともありますよね。プロジェクトのなかでそういったミスコミュニケーションはありませんでしたか?

コミュニケーションの行き違いはほぼありませんでしたね。ブリッジメンバーの皆さんによるところが大きいです。単に広報物をつくるスキルがある人が集まっていたわけではなく、教育やフリースクールに関心を持ってくださっていたことが円滑なコミュニケーションにつながっていました。そういったメンバー構成について、神戸ソーシャルブリッジの事務局のマッチングでご配慮いただいているのかなと感じます。

神戸ソーシャルブリッジとは?

――最後に、ふぉーらいふにとって「神戸ソーシャルブリッジとは」を聞かせてください!

僕たち市民活動団体からすると、神戸ソーシャルブリッジは駆け込み寺ですね。相談だけではなく、具体的な成果物もいただける「困ったときに頼れる場所」です。また、多様な立場の方々が、団体に寄り添い、理解してくれることにより、目標を実現してくれることで、いままでこうだったらいいなあと漠然と考えていたものが、外の視点やご意見をもらうことで、団体内部の意見もまとまり、形にするこができました。そういう意味で「想いがカタチになる」場でもあると思います。

――矢野さん、ありがとうございました!