アフターストーリー・8年ぶりの再会〜団体立ち上げ

外資系消費財メーカーで、メンター・メンティー(助言を行う先輩社員が「メンター」、助言を受ける後輩社員が「メンティー」)の関係だった佐久間さん西岡さん。佐久間さん退職後、接点はなかったものの、2018年度の神戸ソーシャルブリッジ(以下、ブリッジ)で8年ぶりの奇跡的な再会を果たします。

プロジェクト終了後、西岡さんは一念発起し、共働き家族の親と子どもが笑顔で毎日を過ごしていけるための学びや遊びの場づくりを行う活動団体「こ・ねくすと」を立ち上げました。そこにブリッジで再会した佐久間さんも団体の立ち上げの骨格づくりから参画します。

今回は、ブリッジ参加の感想とともに、お二人のアフターストーリーについてもお話を伺いました。

 

再開した当時のお二人(左:西岡さん・右:佐久間さん)

 

佐久間さんと西岡さんお二人の関係を教えてください。

(西岡さん)佐久間さんと私は、同じ部門に勤めていましたが、別の事業所に所属していました。ですので、直接仕事を一緒にしたことはなかったのですが、メンター・メンティーの関係でした。子どもが生まれて、その後のキャリアをどうしていけば良いか悩んでいたとき、上司に相談すると佐久間さんを紹介してくれました。

(佐久間さん)そういったメンターへの繋ぎを、上司は良くするんです。上司が部下の状況を見て、より経験に基づいたアドバイスが必要と判断し、だったら佐久間さんに相談してみたらどう?と繋いでくれます。そうやって繋がっても、メンターから「どうどう?」とプッシュするのではなく、メンティーが相談したいときに自主的にメンターに連絡するのが基本です。西岡さんはとても熱心に来てくれました。

(西岡さん)メンター・メンティーの関係は2007年から始まって、佐久間さんが退職するまでの約5年間、お昼を食べながら数カ月に1回くらいの頻度で相談にのってもらい、続きました。佐久間さんが2010年に会社を退職されてから連絡が途絶えてしまって、いつも心のどこかでまたお会いできる機会があったらなぁと思い過ごしていました。

(西岡さん)2018年に参加したブリッジのミーティングで、朝からチームで話をしていて、お昼に別チームを見たときに「なんか似ている人がいるなぁ」と思いました。「もしかして、佐久間さんですか?」って(笑)それが8年ぶりの再会でした。

 

神戸ソーシャルブリッジ参加のきっかけを教えてください。

(佐久間さん)そろそろ社会や地域に直接貢献することをしたいよねと知人と話をしていたときに、会社を辞めて何かを始めなくても、プロボノ(※1)という関わり方があるなという話になりました。その晩、プロボノについてネット検索して、たまたまブリッジにたどり着きました。

(西岡さん)もともとこれまでの仕事で得た知識や経験を社会課題に活かしていきたい、キャリアを変えたいと思っていました。ただソーシャルの活動をするにしても、仕事関係にはない新しい人脈をつくらないといけない、会社でしかキャリアを積んでいないので、どれだけ自分のスキルが外部で通用するのかわかりませんでした。

ブリッジは、やりたいと思っていた社会課題にこのような形で関わってみたい、そして自身のこれまでのキャリアの棚卸しとネットワーキングを目的に参加しました。もともと社会貢献に興味があったので、プロボノという言葉は知っていて、ブリッジの情報に行き着いたときには締切が迫っていたので、「行ってみよう」と参加しました。社会起業にずっと興味があって、ひたすら社会起業関係の本を読んでいたら、プロボノという言葉が出てきました。ですので、ブリッジ以外の選択肢は私にはなかったです。

※1 プロボノ
仕事の経験やスキルを生かした社会貢献活動。語源はラテン語で「公共善のために」という意味。

 

西岡さんの期待していたスキルの棚卸し、ネットワーキングはできましたか?

(西岡さん)仕事で行っていたリーダーシップスキルが世の中で活かせる、通用することがわかりました。期待以上の棚卸しができました。仕事以外の社外の繋がりがほぼゼロで、会社の周りで社外活動する人もいなかったのですが、プロボノをしている人は、アンテナをいろんなところにはっている方が多いんです。ITのことを教えてもらったり、マーケティングを教えてもらったり、視野が広がりました。また支援先団体のFMわいわい(※2)と知り合うことで、今回私自身が団体を立ち上げることもあり、今でも情報交換したり、アドバイスをもらったりしています。本当にネットワークが広がったし、自分がこれまで仕事でやってきたことが、社会に通用することが理解できました。

※2 NPO法人エフエムわいわい
神戸市長田区を拠点とする多文化・多言語コミュニティ放送局。ブリッジでは情報発信に関わる課題整理と情報発信の改善のプロジェクトに参加。

1WEEKトライアルのプロジェクト詳細はこちらから

ステップアップチャレンジのプロジェクト詳細はこちらから

 

リーダーシップを活かせているとどの瞬間に感じましたか?

(西岡さん)リーダーシップって、これだという形がないものなんです。私が考えているリーダーシップは、メンバーの意見をきちんと吸い上げて、求められている目標に進めていくことができる人。私がこう思うからこう進めるのよ、ではないというのが、私が積み上げてきたリーダーシップでした。

今回メンバーのバックグラウンドも団体も全く知らない中で、いかに参加しているみんなの知恵や思いを引き出して、団体の求めているニーズに合うような成果物を作れるかが鍵でした。結果的にうまく引き出せて、メンバーも団体も満足できる成果物ができたのは、常日頃仕事で価値観の違う国の人たちと仕事をしてきたスキル、ノウハウによるところが大きく、社外の仕事とは違う場面でも活かすことができると確認できました。

 

会社でリーダーシップのトレーニングを受けていましたか?

プロジェクト最終日の佐久間さん

(佐久間さん)前職の会社ではOff-JT(集合研修やグループワークで知識をインプットすること)のトレーニングで、実際のケースを使ってリーダーシップとは何かを学ぶ機会もありますが、何よりも、新入社員のころから一担当者として責任とともに仕事を任される日々を通じて、周りをうまく巻き込んで、より良い結果を出していくことを実践的に叩き込まれます。つまり、それがリーダーシップです。

一般的に日本の企業は、リーダーという役職を持つ人だけがリーダーシップを発揮すればよいという考えが根底にあると思います。特に若い頃は、そのリーダーの指示に従って仕事をこなすことが主であるように思います。一方私たちがいた外資系企業では、新入社員を含め、全員がそれぞれリーダーシップを発揮することが求められます。みんなが自ら考え、自主的に責任を持って行動することが、よりよい成果を生むと考えられています。

 

その後、西岡さんは団体「こ・ねくすと」を立ち上げますが、最初から佐久間さんを巻き込む予定でしたか?

(西岡さん)ブリッジのプロジェクトが12月に終了して、その後、親子に向けた活動をやりたいというのは決まっていて、それを佐久間さんに話して、アイデアをもらったのが1月です。そのときに、協力するよと言ってくださって、今に至ります(笑)

 

佐久間さんが動いたきっかけは何だったのでしょうか?

(佐久間さん)プロボノ参加もそうですが、私の広いテーマとしてダイバーシティがあります。会社の仕事でも、ボランティアでも、隣の人に対してでも、どのような形にせよ多様性が活かされる社会になるよう貢献したいと考えています。ビジネスをゼロから起こす勇気は私にはないけど、前を走っている人を支援したいという思いがあります。

そのひとりは、ブリッジの1WEEKトライアル、2ヶ月間のステップアップチャレンジでご一緒した団体、インターナショクナル(※3)代表の菊池さんです。そして、もちろん西岡さんもです。私がこの活動を先頭をきってやることはまだできないけど、私が“いいね”と思うことをどんどん前に動かして実現していく人がそばにいるのは嬉しいし、頼もしい。

※3 NPO 法人インターナショクナル
「インターナショナル」と「食」を起点に一人ひとりの違いに配慮した安心で快適なコミュニケーションをつくる「Inclusive Design」と多文化や多様性への理解と交流機会を広げる「Diversity Education」の2つの領域で事業を展開。ブリッジでは、新事業につながるテーマやキーワードのアイデアブレストと現状の団体の課題抽出と改善提案のプロジェクトに参加。

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(西岡さん)私が第1子を出産して復帰後、もがいていた時期に、メンターとしてたくさんの励ましとアドバイスをくださった佐久間さんは、私のロールモデルの一人でした。8年ぶりに再会して、ほんの数カ月でここに至ることもすごいんですが、また一緒に関われるのは嬉しいし、佐久間さんもそう思ってくれていると思います。この出会いを逃してはならないと思いました。

 

今後の抱負をお願いします。

プロジェクト中の西岡さん

(西岡さん)想いは熱いけど、穏やかな場を作りたいと思っています。東京とも大阪とも違う、神戸で似たような団体は全国にあると思いますが、和やかな団体になりたいなと思うのと、ブリッジに参加して思ったのが、違う世代で交わったことで、いろんな学びがありました。大学生と同じチームになって関われたのがすごく楽しかったんです。私たちの活動拠点である、神戸ソーシャルキャンパス(NPOと学生の交流拠点)でいい意味での化学反応がおきたらいいなと思います。ここならではの世代を超えた良い場になったらいいなと思います。

(佐久間さん)神戸に思い入れがあります。長く暮らしているし、両親も住んでいました。神戸モデルみたいに言われるといいですね。神戸ならではの、神戸らしさがあるものをつくりたいという野望があります(笑)。都会過ぎず、でも適度に刺激もあるし、昔から多様性を受け入れている街です。地に足がついた自分たちのダイバーシティを、リードできる地であると思います。

ありがとうございました。