神戸市若手職員が実感した、神戸ソーシャルブリッジの可能性 

「神戸ソーシャルブリッジ」は、市民・職員協働プロジェクトチームの1つとして検討が進められ、2017年度末から本格的にスタートした事業です。

(参考リンク先:NPOも企業人も行政職員も、みんなで社会貢献。神戸ソーシャルブリッジが目指す未来

その流れを受けて、2018年度も「神戸ソーシャルブリッジ事業に関するプロジェクトチーム」のメンバーが市役所内で公募され、多様な部署から8名の職員が事業の継続的な体制やあり方を検討するために選出されました。

8名のメンバーは、ソーシャルブリッジの運営団体である認定NPO法人サービスグラント 、NPO法人しゃらくとともに、延べ17件のプロジェクトの、主に広報担当として各チームに伴走しながら、最も近くで神戸ソーシャルブリッジの活動現場に触れ、参加団体、参加メンバーの変化を目の当たりにしてきました。

彼らの視点から神戸ソーシャルブリッジはどのように映ったのか、そして、その可能性をどのように感じたのか。1年の任期満了を迎える2019年3月に行ったインタビューをレポートします。

※各プロジェクトの様子はプロジェクト紹介のページからご覧いただけます。

※インタビュー時の参加メンバーは7名でした。

<参加メンバー(五十音順)>

上原 春香さん(須磨区生活支援課)
岡本 沙弥香さん(中央区総務部まちづくり推進課)
久場 勝弘さん(危機管理室地域安全推進担当)
中島 由莉子さん(西区生活支援課)
中西 一斗さん(中央区選挙管理委員会事務局)
服部 健志さん(企画調整局産学連携課)
三木 美加子さん(行財政局北市税事務所)
水本 涼さん(兵庫区まちづくり課)

1年の活動を終えた今

(上原さん)やっと落ち着いたなと思っています(笑)

(服部さん)市長報告は良かったなとホッとしています。市長が真剣に我々の声に耳を傾けて、最後には一人一人の意見を聞いてくださったんです。いい時間だったなと個人的には思いました。

(岡本さん)チームに対してもっと側面的に関わるのかと思っていたら意外に入り込んで深く関わることができ、思っていた以上にいろんな人に出会えました。

(中島さん)仕事では西区に限られている行動範囲が、ブリッジを通じて色々なところへ行けてすごく楽しかったのと、日頃の業務のことだけではない、様々な考え方ができたかなと思います。

はじまりの印象について

衝撃の連続

7月21〜28日の「1WEEKトライアル」から神戸ソーシャルブリッジのプロジェクトがスタートしました。初めて事業の現場に関わる時、どんな期待感がありましたか?

(上原さん)私が担当した「FMわぃわぃ」は、地域のコミュニティラジオを運営している団体です。初日の午後すぐにラジオの収録現場に行ってラジオ番組の生放送に参加し、本番中にメンバーの自己紹介をする流れになったのが衝撃でした(笑) FMわぃわぃさんは土曜日の午後、誰でもワンコインを払えば出演ができる「ワンコイン番組」を運営されています。

それは特に打ち合わせもなく、いきなり席に座って「じゃあ始まります」というもので、普段の行政の仕事では準備に準備を重ねるのに、こんなふうに流れるままに進む物事が世の中にはあって、それでみんなも楽しんでいるのはいいな、というのが初日の体験でした。

 

中島さん

中島さん

(中島さん)私が担当した「ママの働き方応援隊」は、初日の約1週間前にチーム編成が決まり、メーリングリストが立ち上がった時点から、「団体に関連する本を貸して欲しい」など事前に準備をされていて、当日も「これ調べて来ました」と雑誌を持って来られている方がいたり、お給料が発生する訳ではなくてもプロジェクトに前向きに関わる姿勢がすごいなという衝撃がありました。

1週間楽しくなりそうだなと思いましたし、そういう仕事の感覚が変わるというか、「お金をもらうことだけが仕事なのか?」と考えるきっかけになり、メンバーの皆さんのポジティブなスタンスがいいなと思いました。

 

(服部さん)プロボノというボランティアの新しいかたち、またNPOや地域団体と企業社員の方たちなどが協働する世界があることにびっくりしました。身近にプロボノの人たちと接する中で、メンバーは何を目的にプロボノをするのだろうと思ったらいろんな理由がありました。世代交流したい人もいれば、つながりを作ってそれを仕事に活かしたい人も。あるいは、こういう活動もあるよと会社からの紹介で参加された方もいました。

私は「しみん基金・KOBE」を担当しましたが、皆さんモチベーションがすごく高くて、1WEEKトライアルのうち半数以上の日程を使って話し合いを行うというすごい活動量でした。1WEEKトライアルのあとも最終納品までさらに1週間程度使って、すごく濃い時間を過ごすことができて良かったなと思っています。逆に1週間という超短期決戦なので、ある意味割り切って集中して活動ができたという一面もあったと思います。

NPOや地域活動との関わりについて

NPOと関わることで人に変化が起こる、そこが活動の醍醐味

神戸では約780のNPO法人が認証を受けています。1WEEKトライアルと2ヶ月のステップアップチャレンジ、一人が最大2団体のNPOの内側に一歩入り込んで代表の話に触れたり、活動の立ち上げについて見聞きしたと思いますが、その前後でNPOや地域団体に対する考えや認識に変化がありましたか? 

ボランティアもイベントの受付やニュースレターの封入などの活動の一場面をお手伝いするタイプもありますが、ソーシャルブリッジでは、組織の基盤強化につながる具体的な成果物を提供するプロジェクト型にチャレンジしています。実際の活動の様子に伴走をしていて、NPO・地域団体やボランティア活動の捉え方、考え方に何か変化がありましたか?

(岡本さん)思っていたより、NPOは少人数で動いていて、すごく忙しく活動をされている。マンパワー不足で大変そうだという印象を持ちました。

(久場さん)それまでに全く接点がなかったので、NPOのイメージそのものがありませんでした。いろんなNPOに関わることで、今回参加されていた団体のように神戸市内の課題に向けて精力的に活動されているNPOがある一方で、データで見るとほとんど活動していないNPOもあったり、市民活動の全体像を知ることができたのが良かった点です。関わったNPOはどの団体も想いがあって、すごく力があるなと感じました。

(水本さん)1WEEKでは「FACIL」、2ヶ月のステップアップチャレンジでは「インターナショクナル」を担当しました。私自身がこれまでにNPOと関わったことがなく、NPOが具体的に何をしているのか知らなかったのですが、多言語の翻訳通訳の事業に取り組んでおられる事務所などを訪問したり、代表のお話を聞いたりするなかで、NPOは自分の実現したい社会のイメージや、信念を持って活動をされていることがよくわかりました。私も自分の核になるものというのか、信念を持って仕事しようと思える刺激をもらいました。

岡本さん

岡本さん

(岡本さん)1WEEKでは「まなびと」、2ヶ月のステップアップチャレンジでは「FMわぃわぃ」を担当しました。まなびとでは、学生ボランティアさんが集まって地域の子ども達や留学生の日本語学習支援を行なっている現場を何回か見に行って、学生ボランティアの皆さんがどういうモチベーションでやっているのか、団体の活動についてどう思っているのか話を聞いたりしました。

FMわぃわぃでは震災後、災害情報の発信を、現在は多言語・多文化の情報を発信しています。プロジェクトでは、代表の話を伺ったり、ラジオ収録ではアフリカの方々と共演をしてアフリカの現状の話をしたり。まさか神戸でアフリカの方に会うとは思わなかったと参加されたブリッジメンバーもおっしゃっていました。

団体自体も積極的に活動されている様子が現場に行ってわかりましたし、ブリッジメンバーもメーカーやデザインなどの分野で社会人としてバリバリ働いておられる本当に忙しい中で、どうやって時間を捻出しているのというレベルでプロジェクトを進められていました。その動機は、自分のスキルを試す場としてだったり、社外でのチャレンジを自分の今後の活動にどう活かせるかみたいなところをみておられて、私も勉強になったことがたくさんあります。

例えば、私が普段仕事をしている区では、在住外国人が多く、毎回外国人向けの施策や生活情報の提供などいろいろ打ち出してはいるのですがそれは生の声を聞くというよりは、データを主な情報源としてそれを基に行っています。アフリカの方と接して、実際に住んでいる人が病院へ行くのにどうしているのだろうとか、役所へ行くのにどうしているのだろうとか、そういうリアルなところを感じました。現場を知るというのはこういうことなのだと思いました。

(三木さん)私は2プロジェクトとも、「Peace&Nature」を担当しました。ソーシャルブリッジに関わる前はNPOそのものを全く知らなかったのですが、1WEEKの初日に夜8時ぐらいまで活動現場に行き、2ヶ月のプロジェクトの時には団体のスポンサー企業の社員さんが家族と一緒に参加されるプログラムに参加をして、あぁ、あそこでこういう活動しているのだということを理解していく中で、特に代表のバハラムさんを筆頭に熱い想いがすごくて、「これを目的にやるんだ」という芯を持って活動をしている、というイメージを今も持っています。

久場さん

久場さん

(久場さん)1WEEKが「インターナショクナル」、2ヶ月が「まなびと」でした。「インターナショクナル」では、代表の菊池さんがハラル認証やフードピクト(*1)について話す講演会に参加して、そこには僕がこれまで全く知らなかった世界がありました。また、プロジェクト後に非常食のワークショップが開催されて、そこにも参加したのですが、子どもにアレルギーがあってアレルギー対応の非常食について関心がある方が来られていて、僕はまだ独身ですが、家族があると子どものことなどもっと考えることが色々広がるのだなと感じました。

「まなびと」のプロジェクトでは、外国人の方に学生が日本語を教えている現場にインタビューにいきました。『僕がいないと「まなびと」の活動は続いていかない』という正義感を持った学生さんで、彼はもともと子どもや外国人と喋ることが得意ではなかったものの、「まなびと」に参加をしてから変わったと聞いたとき、NPOと関わることで人に変化が起こる、そこが活動の醍醐味なのだと感じました。

私の業務は交通安全啓発なのですが、今回、ソーシャルブリッジで得たご縁から、神戸市内の在住外国人、インバウンドの外国人観光客への啓発活動をどうしたらいいかというところで、留学生に日本語学習の機会を提供している「まなびと」と何かコラボができるのではないかと思い企画を進めています。

(*1)フードピクト・・・食品表示国際基準に則って、ピクトグラムを使った食品表示のこと。宗教上やアレルギーなどのため、食べることに制限のある人も食を楽しめるユニバーサルデザインの発想の元に開発された。

 

(中島さん)私は2プロジェクトとも、「ママの働き方応援隊」を担当しました。1WEEKの時はほぼ毎日、ブリッジメンバーのメールを追いかけていました。ブリッジメンバーの皆さんはいつ寝ているのだろう?というぐらい、朝、夜とそれぞれのペースですごく精力的に活動されていて、私も物事に関わる姿勢や、デザインの経験をお持ちの方のパソコンスキルなど、すごく勉強になりました。

2ヶ月のマニュアル作成の時は、現場であるカフェの見学に行きました。代表の合田さんが4人の子育てをしながら、子どもと仕事をされているフットワークの軽さに驚きました。私たちのように行政で働く人はマニュアルというのか、標準的な動き方を意識しがちですが、NPOの方はそれと比べるととても感覚的で、お子さんの面倒もその場にいる人が見るとか、流れの中で対応をして行く雰囲気がありました。

マニュアルを作って行く上で、ブリッジメンバーは企業で働かれている人が多いので、企業の中にある一定のルールというか、守るべきポイント、管理の基準としてマニュアルの中に入れた方が良い、と譲れないところがありました。現場の柔軟さと法令遵守の元で、行政で普段動いている私の感覚で対応する許容範囲とで、せめぎ合うところもありました。ブリッジメンバーも団体の皆さんも、ボランティアや仕事に対する想いの強さであれだけ物事を動かして行ったり、形を作ったりして行かれるところを見ると、私自身の仕事への熱心さを振り返ったり刺激を受ける良い機会になりました。

 

上原さん

上原さん

(上原さん)1WEEKが「FMわぃわぃ」、2ヶ月が「竹の台地域委員会」でした。どちらも団体自体は大学生の頃から知っていました。FMわぃわぃは、行政の手が届かないところ、見えていないところに対してすごく支援をしている団体で、行政の立場から見るとすごくありがたい存在なのかなと思いました。だからこそNPOの現場で人手が足りないとか、後継者がいないという状態について、私たち行政が支えていくとか、ソーシャルブリッジのような仕組みを作って何か社会的なことに関わりたい、ボランティアをしてみたい、と興味を持ってもらう機会を作らないといけないなと思いました。

竹の台地域委員会では、超高齢社会に必要な知識や情報を学ぶ講座の見学、竹の台地域に住んでいるお母さん世代の方と、竹の台地域委員会にボランティアとして関わっている女子高生にインタビューしました。竹の台地域委員会は地域団体です。なんとなく、地域団体の方からすると、ブリッジメンバーのような外部のよその人から色々と言われたら嫌がるかなというイメージを持っていたのですが、竹の台の方たちは全然違って、新しいことをどんどんやって行きましょう、よくしていくために意見をくださいという感じで、私がこれまでに抱いていた地域団体に対するイメージが変わりました。

普段の仕事で関わる市民の方達との関係性でいうと、役所の対応について不足を指摘されることはあっても、一緒に何かをやって行きましょうというケースにはなかなか出会いません。もともと市民の方とか企業の方と協働して何か取り組んで行きたいという思いで入庁したので、今回このソーシャルブリッジに関わって、前向きに神戸の街をよくしていこう、支えていこうと思っている人たちがたくさんいるのだなという存在を知って体感ができたことは、自分にとってすごく大きかったと思います。

 

服部さん(右)

(服部さん)1WEEKでは「しみん基金・KOBE」を担当しました。ボランティアを募集して、市内の地域活動やNPOとをつなぐウェブサイトを運営している団体で、プロジェクトは、そのウェブサイトが有効に活用されているのか、どんな効果が得られているかを検証してほしいという内容でした。ウェブマーケティングやっている方や、IT関係の方、ご意見番のシニアの方がメンバーに入って、すごくバランスよく課題に対して取り組むことができたと思いました。

2ヶ月のステップアップチャレンジでは中島さんと一緒に「ママの働き方応援隊」を担当しました。子どもを持つ母親が子育てしながら働ける環境をつくりたという思いを持って活動されているNPOで、その事業の一環として、新長田で始めた子連れでも働けるカフェを全国展開したい、そのためのマニュアルを作りたいということでした。2つのプロジェクトを担当して感じたのは、もともとNPOがどういうものかあまり知識もなかった中で、2団体とも、、課題に対する思いみたいなところが全然違っています。それこそ人と一緒で、団体ごとにそれぞれ全然違う思いでやっていて、同じ言葉でくくられる課題に対する認識、アプローチや信念にも、全然違った色々な意見や思いを持って活動をされているのだろうと思いました。

2月に開催されたソーシャルブリッジフォーラム後の関係者の食事会で、「まなびと」の代表の中山さんと今まで全然接点がなくて話したこともないのに、夜遅くまで電車がなくなるまで話し込みました。友達ではなく、仕事以外にそういう人脈ができた、そういう初対面でも深く話せる人たちと出会えたのはすごくいい機会だったと思いました。竹の台地域委員会の方もいらしていて、地域にこういう課題があってどうにかしたいという話を熱くされていました。ざっくばらんに話ができて、そこでの会話がその後すぐに何かにつながっている訳ではないのですが、次に出会ったタイミングに、こんな話をしたよねというところから例えば仕事につながるかも、などブリッジへの参加を通じて今後に向けた可能性が広がったという感覚はあります。

市長報告まで プロジェクトチームの議論のプロセス

キーワードはSDGsと行政職員が地域に出て市民と協働する機会の創出

公募職員によるプロジェクトチームのミッションは、神戸ソーシャルブリッジが今後も継続的な仕組みとして地域に根付いて行くための体制の検討や、今後の事業のあり方について市長提案を行うことだったと聞いています。最終のプレゼンまでの議論の流れや内容について教えてください。

(岡本さん)ブリッジのプロジェクトの広報担当としてそれぞれのプロジェクトに伴走をしながら、東京や名古屋でプロボノの取り組みをしている団体や、行政主導でプロボノを取り入れている自治体のヒアリングをさせてもらいました。それぞれどんな枠組みでどれくらいの規模でどのように市民とNPOとの協働が行われているのか情報収集をした後、プロジェクトチーム内での打ち合わせは12月末頃から週に1度、6、7回程度持ちました。

提案の骨子はいくつかあるのですが、まずソーシャルブリッジを3年以上続けて行くとしたらどう回していくのかという継続性のテーマがあり、それには企業の協力が必要で、それを得るためにはどうしたらいいのだろうと話す中で、SDGsというキーワードが出てきました。他地域の事例のインタビューへ行った時に、ある代表の方がSDGsをすごく推されていて、企業に関わってもらうにはそこがキーワードではという流れでした。

 

(服部さん)事業として運営していくには資金が必要で、今は神戸市からの委託事業として立ち上げをしていますが、色々な人や団体に支えられて自律的に運営される仕組みを将来的な目標に置いた時にどういう仕組みだとお金が入るのだろうと。たとえば、サポーター協賛の制度を作ったり、NPO、企業、学校、行政も入って、みんなで社会課題の解決に取り組んでいきましょう、という会費制の協議体みたいなものを作って、その中でNPOと企業が繋がったりとか。みんながそのコミュニティに入ることにメリットを感じて会費を払って入ってもらい、みんなで協力してネットワークもお金も持続性を持たせられたら……といった話が出ていました。

もちろん、言うのは簡単で、それを立ち上げるのはだいぶハードルが高い。さらに、市内にもすでにいろんな協議体があっていわば乱立している中に、また一つ新しく作ることが受け入れられるのかといった話もあって、協議体の形はやめておこうと言う方向転換がありました。

 

(岡本さん)まずは考えられる関係者の中で、企業の興味をひこうという話になりました。その取っ掛かりとして、今まで企業が注力してきたCSRやCSVから次のテーマはSDGsになる言われているものの、神戸市としては全然やってきていない様なので、これをきっかけに打ち出していけると企業との共通言語ができるのではと考えました。

(久場さん)私たちもSDGsに詳しい訳ではないので、まず調べようとなって、SDGsに取り組んでいる自治体やNPOなどのキーワードで事例検索を年末から年始で分担しました。

三木さん

三木さん

(三木さん)「Peace & Nature」 の2ヶ月のステップアップチャレンジで企業に対して、協賛や協力を得るための営業資料の充実に取り組んだのですが、その時に、団体の活動をSDGsに当てはめようと言う話題になっていました。それになぞらえて、ソーシャルブリッジ自体のテーマや、参加したNPO団体の活動をSDGsに落とし込んで紹介をしていったら、企業は関心を持つのではという意見もあれば、国連では2030年までのグローバルゴールという時限もあり、SDGsのテーマに絞ってしまうより、それぞれのNPO団体が持っている課題からテーマを設定した方がいいということも議論しました。

(服部さん)プロジェクトチームの折り返し地点のタイミングに、ソーシャルブリッジの運営に関わる皆さんと意見交換をしました。主に企業を参加をしてもらう方向性とともに、神戸市庁内にある課題解決にもつながるアイデアや視点を入れると良いではないかという意見をいただきました。

すでに神戸ソーシャルブリッジの一つの特徴でもありますが、ブリッジメンバーとして公務員がもっと地域に出ていって地域団体と関わったり、公務員も市民として市民活動に参加して地域の課題解決に関わって行く提案を付け加えていく作業を2、3回の打ち合わせで行なっていきました。主担当である市民協働課の方々ともお話する中で紆余曲折ありつつ、議論を重ねた結果、最終的に市長への最終提案の時間は有意義なものになったので良かったなと思っています。

神戸ソーシャルブリッジにみるこれからの可能性

スキルアップ、地域課題の実体験、自分を知るきっかけ、脱年功序列、生活の質の向上

1年間を通じてそれぞれに学びはありましたか?今後のキャリアに活かせそうだと感じたことや、ソーシャルブリッジにどういう可能性があると思いましたか?

(岡本さん)参加するといろんな考え方が見られるからいいなと思います。私たちはまだ若手で、普段の仕事の中で政策提案をするような機会はありません。ルーティンワークで業務改善について意見があれば言えるけれど、すべてが受け入れられるわけでもありません。そんな中でも、ソーシャルブリッジのプロジェクトは自分の能力を上げるというか、提案する能力を上げるような場になっているし、メンバーになった人の例えば、パソコンスキルとか、こういう機能があったんだ!みたいな小さいことですが、そういうところから知って自分の知識にもできるなと思いました。若手にも是非!と思っています。

服部さん

服部さん

(服部さん)市職員が本当に日頃から地域課題とか社会課題を意識しながら仕事をしているかというと全員が全員そうではないのですよね。実際にソーシャルブリッジに参加すると、例えば地域団体はこういう課題を抱えていてとか、社会課題としてこういうことがあってそれをNPOが解決するためにこんな取り組みをしている。そういうことって、現場に行かないとわからないのですよね。

そういった実体験として課題やそれに取り組む市民の動きを市職員も一緒に経験することによって、神戸市がすごくいい都市になるのではないかと。職員の意識が変わって、課題意識を持って仕事をすることでそれが行政サービスの改善に繋がって、それが市民の方々もハッピーにするみたいな、そういう良い循環につながっていく実践の場になるのではという風に思いました。

 

(久場さん)プロボノとして参加している方は本当に色々な業界・職種の方たちでした。リーダーっぽく見えない方がすごく上手にプロジェクトの進行を支えていたり。ソーシャルブリッジに参加することは自分を知るきっかけになるのかなと感じました。自分にどういう特徴があって、どういう立ち位置の方が力を発揮しやすいのか、進めやすいのかがわかる機会にもなると思います。

行政でもある一定の人としか関わらない部署があります。だけどそういう固定の人間関係とは別のところにいる人と何かを一緒に考える体験は、自分を知るきっかけだったり成長するきっかけだったりするのかなと思います。

 

(上原さん)友達や特に若い人に参加してもらいたいなと思います。1、2回の異動だと関わる人も少ないですし、行政職員に限定すると関わる人の幅はさらに狭まってきます。ソーシャルブリッジに参加すると、チームメンバーの民間の方の仕事のやり方を知るきっかけになるし、自分の仕事に持ち帰って活かせると思います。例えば、普段仕事で人と議論する場が持ちにくい部署もたくさんあると思いますが、人と議論して自分の意見を言ってアイデアを生み出すとか、自分の今まで開かれてなかった扉というか、そういうところが発見される場にもなり得るのではと思いました。

役所は年功序列で、基本的に年上の方は自分より上の立場の場合が多いですが、いろんな歳の方が集まって、みんな同等にプロボノのメンバーとして同じように意見を言ったりできる機会も、行政職員の目からするとなかなかない貴重な場だと思っています。

 

(中島さん)若手に限らず、市職員の方には参加してほしいなと思います。私は入庁したときに「この仕事のやり方はどうなんだろう?」と疑問に思うことが結構あったのですが、1年半ぐらいするとそれがもう普通になってしまっていました。それはやはり限られた世界で仕事をしているからで、ソーシャルブリッジに関わってメンバーの皆さんの働き方や、お仕事の話を聞いている間に、仕事の仕方は今私がやっているやり方だけではないと思うことがすごくありました。狭い世界での視点だけで物事を見て判断するのは本当に良くないし、そんなことを職員がしていたら、多分神戸市もそういう神戸市になってしまうのだろうという思いがすごくあります。

外部からの客観的な意見や外から見た行政職員像を定期的に聞いて、自分自身が「あっ!」と気づかなくてはいけないと思うとき、ソーシャルブリッジに参加してほしいなと思います。ブリッジ「メンバーの方から行政職員だけど話しやすくてよかったと言われたのがすごく嬉しかったのですが、それは裏を返すと行政職員は一般的には話しにくいと思われているということ。ソーシャルブリッジに行政職員が多く参加したら、市民の皆さんから見ても、行政職員も普通に市民だという感覚を持っていただけたら職員のイメージアップではありませんが、もっと相談やアイデアをいただける存在になっていけるのではと思いました。

 

(三木さん)前向きな人に出会える場というのと、学びの場という点でおすすめだと思います。私は今、事務職で会議などはなく、普段の仕事で関わるのは同じ係の中の男性6人くらいが中心です。外に出ていくことがなく、仕事もデータの打込みのルーティンワークで私は神戸市に何が貢献できているだろう?と思うこともあります。でも、ソーシャルブリッジに関わって業務外でも何かボランティアをやろう、と志を持っている方に出会うと、業務外の時間を活かしてやりたいと思うことに関われば良いと思えたし、そういう方々を見習う、出会うことで自分も新たな一面が開きそう……とも思えたので、普段とは違う考えを持った人に触れるというのですすめたいと思います。

学びの場という意味は、今はデータの打込みが仕事のメインで特に主だって業務のスキルアップが測れない、業務で苦労をして何かを体得できるということもあまりないので、ソーシャルブリッジに参加して、議事録を残すとか、本当に小さなことから、いろんな意見が混ざる場で意見を調整していくとかそういうスキルを上げる場としても活用していくべきじゃないかなと思いました。

 

水本さん

水本さん

(水本さん)プロボノに参加することで社会貢献できるというのはもちろんですが、全く知らない人たちと出会ってヒアリングや現場見学、会議などを通して成果物を生み出していくことは、普段とは違った人脈ができますし、仕事、家庭以外の居場所ができて、自分の経験を活かせる場として、生活の質が上がるかなと思います。自分も時間ができたらやりたいなと思います。

人脈が生きたというところでは、2月のブリッジフォーラムに同じ部署の人を誘ったら、そこから「まなびと」さんと繋がって、青少年の育成に関する団体の支部長会で最近の子どもが持っている悩みや、それに対して団体がどのようなアプローチをしているのかを話してもらったことですね。

 

神戸ソーシャルブリッジを一言で表すと……

(上原さん)私の一言は「SPARK」です。弾けるとか活気とかアイデアを生み出す時にもSPARKという単語を使うのですが、人々の活気が溢れてアイデアが弾けて出てくるような場だと思ってこの言葉を選びました。

(岡本さん)「繋がりの場」です。たくさんの出会いからの今後の活力ということで、言葉そのままの意味で選びました。

(久場さん)「気づきの場」。海外青年協力隊でカメルーンに行って帰ってきてすぐだったので、そもそも日本社会に溶け込めるのか?という思いもありましたが、いろんな人と知り合うことで自分をもう1回見つめ直せる機会であり、いろんなことに気づけました。

(中島さん)「新(あらた)」としました。まずNPOを知って新しいことに気づけたこと、いろんな業種の方と新たな出会いがあったということ、この若手職員のプロジェクトメンバーと出会えて新しいことを色々教えてもらったので。

(服部さん)「人と人」と書きました。いろんな人との出会いがあって、NPOの方も、人によって考え方が全く違う、いろんな人から刺激をもらえた場だなと思いました。

(三木さん)「前向きになれる場」。本業とのバランスを取ってくれる、明るくいられるというのでそう表現しました。

(水本さん)「新しい居場所」です。学校、職場、家庭とは違った新しい場所で新しいいろんな人と繋がりができる場所かなと思ったので。